オキサロール注
オキサロール注2.5μg/5μg/10μg
一般名:マキサカルシトール
供給確保医薬品カテゴリーCです
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開発の経緯1)
慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(chronic kidney disease-mineral and bone disorder;CKD-MBD)の主要な一病態とされる二次性副甲状腺機能亢進症(secondary hyperparathyroidism;SHPT)は、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)分泌亢進と副甲状腺細胞増殖を主徴であるとされている。活性型ビタミンD3産生低下は、小腸におけるカルシウム吸収の低下、PTHの作用不応性をきたし、低カルシウム血症を生じる原因となる。低カルシウムによって二次性に副甲状腺機能が亢進し持続した状態が二次性副甲状腺機能亢進症である。
活性型ビタミンD3は、腸管への作用によってカルシウムの吸収を促進するとともに、副甲状腺に直接作用し、PTHの合成・分泌を抑制する。また、透析技術の進歩によって透析期間が長期化する傾向があり、低カルシウム血症を呈さないにもかかわらずPTHが異常高値を示す進展したSHPTが問題となるケースが増えている。
中外製薬株式会社は、血清カルシウム上昇作用が弱くかつPTH抑制作用が強い薬剤の創薬を目指し、様々なビタミンD誘導体を合成して検討を重ね、オキサロール注(一般名Maxacalcitol:マキサカルシトール)を見出した。
オキサロール注は、PTH合成・分泌抑制作用、線維性骨炎及び骨代謝異常の改善作用の機序により、血清PTH低下効果、高回転を示す骨組織及び骨マーカーの改善効果について審査され、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬として承認され、2000年9月に発売されるに至った。
6年間の再審査期間を経て2006年9月に再審査申請を行い、2008年12月には「薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しない」との再審査結果が通知された。
2024年10月1日、LTLファーマ株式会社はオキサロール注の製造販売承認を承継した。
治療学的特性1)
- オキサロール注は、静注活性型ビタミンD3誘導体製剤である。
- 副甲状腺への直接作用により、PTHの合成・分泌を抑制した (ラット、in vitro)
- 慢性腎不全維持透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症を対象にした第Ⅲ相比較試験において、主要評価項目であるPTH改善度で有効性が示された。2)
- 慢性腎不全維持透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症を対象にした一般臨床試験において、26週間投与後の中等度改善以上の PTH改善率は56.3%、長期継続投与試験において、52週間投与後は51.6%であった。3)4)
- 重大な副作用として高カルシウム血症があらわれることがある。主な副作用は高カルシウム血症、そう痒症、いらいら感であった。主な臨床検査値異常はCK上昇、血中リン増加であった。
副作用の項を参照
効能又は効果
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
用法及び用量
通常、成人には、透析終了直前にマキサカルシトールとして、1回2.5~10μgを週3回、透析回路静脈側に注入(静注)する。
なお、血清副甲状腺ホルモン(PTH)の改善効果が得られない場合は、高カルシウム血症の発現等に注意しながら、1回20μgを上限に慎重に漸増する。
用法及び用量に関連する注意
- 初回は血清インタクト副甲状腺ホルモン(intact-PTH)が500pg/mL未満[あるいは血清高感度副甲状腺ホルモン(HS-PTH)が40,000pg/mL未満]では、本剤を1回5μg、血清intact-PTHが500pg/mL以上(あるいはHS-PTHが40,000pg/mL以上)では、1回10μgから開始する。
- 血清intact-PTHが150pg/mL以下に低下した場合は本剤の投与を中止する。
重要な基本的注意
- 本剤は従来の経口活性型ビタミンD剤により効果が十分に得られない症例に対して経口活性型ビタミンD剤から切り換えて投与すること。また、本剤により改善、維持された場合には、経口活性型ビタミンD剤への切り換えも考慮すること。
- 本剤の投与量については、血清PTHレベル、血清カルシウム及び無機リン値に注意しながら、減量・休薬を考慮すること。
- 本剤は血清カルシウム上昇作用を有するので、本剤投与中、血清カルシウム値を定期的(少なくとも2週に1回)に測定し、血清カルシウム値が11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えないよう投与量を調節し、超えた場合には投与を中止(休薬)すること。
また、目安として血清カルシウム値が11.0mg/dLを超えたときには、さらに測定頻度を高くし(週に1回以上)、減量あるいは中止すること。投与の再開については、血清カルシウム値が11.0mg/dL(5.5mEq/L)未満に回復したことを確認した後に投与量を減じて行うことが望ましい。
低アルブミン血症(血清アルブミン量が4.0g/dL未満)の場合には補正値を指標に用いることが望ましい。
補正カルシウム値算出方法:
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)-血清アルブミン値(g/dL)+4.0 - 慢性腎不全における二次性副甲状腺機能亢進症においては、しばしば高度の高リン血症を呈し、これが増悪因子のひとつとなることがあるので、定期的に血清無機リン値を測定し、そのコントロールを行うこと。
- 本剤の長期投与により血清カルシウム値の上昇頻度が高くなることが認められている。これは、本剤の効果により血清 PTHの低下に伴って骨代謝が正常化しやすくなることによると考えられる。
相互作用
〈併用注意(併用に注意すること)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アルファカルシドール カルシトリオール |
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 | 両剤ともに血清カルシウム値を上昇させる可能性がある。 |
| PTH製剤 テリパラチド |
相加作用による。 | |
| ジギタリス製剤 ジゴキシン等 |
不整脈があらわれるおそれがある。 | 本剤により高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強することが考えられる。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈重大な副作用〉
高カルシウム血症(22.2%)
本剤には血清カルシウム上昇作用が認められるので、高カルシウム血症によることが考えられる臨床症状(そう痒感、いらいら感など)の出現に注意すること。
〈その他の副作用〉
| 0.1%以上 | 0.1%未満 | |
|---|---|---|
| 皮膚 | そう痒症、発疹 | 脱毛症 |
| 精神神経系 | いらいら感、不眠症、頭痛 | 不穏、興奮、焦躁感 |
| 消化器 | 胃・腹部不快感、食欲不振 | |
| 肝臓 | AST上昇 | ALT上昇 |
| 代謝異常 | CK上昇、血中リン増加、血中ミオグロビン上昇、LDH上昇、Al-P上昇 | 総蛋白減少、血中尿酸増加、血中アルミニウム上昇 |
| 呼吸器 | 胸部X線異常 | |
| 心・血管系 | 高血圧 | |
| 血液 | 白血球分画異常(リンパ球、好酸球等) | 白血球減少 |
| Other | 四肢不快感、倦怠感 |
臨床成績
有効性及び安全性に関する試験
国内第Ⅱ相試験
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全維持透析患者203例(プラセボ29例、マキサカルシトール5μg/回58例、10μg/回58例、15μg/回注)58例)を対象とした後期第Ⅱ相二重盲検比較試験(プラセボ、マキサカルシトール5、10及び15μg/回を週3回透析回路静脈側より投与)において、intact-PTHの低下及びPTH改善度を中心とする臨床効果、有用度で有意な用量相関性が認められた。また、10μg/回のintact-PTH抑制効果は5μg/回よりも優れ15μg/回と同等であったが、その血清カルシウム上昇作用は15μg/回より小さく 5μg/回と類似していた。
注)本剤の初回投与量は、マキサカルシトールとして、1回5あるいは10μgである。
5μg/回の安全性評価対象例57例中14例(24.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症8例(14.0%)、そうよう感4例(7.0%)等であった。10μg/回の安全性評価対象例55例中32例(58.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症30例(54.5%)、そうよう感4例(7.3%)等であった。
国内第Ⅲ相試験
慢性腎不全維持透析患者34例(プラセボ12例、マキサカルシトール 5μg/回 5 例、10μg/回17例)を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験(プラセボ、マキサカルシトール 5及び10μg/回を週 3 回透析回路静脈側より投与)において、PTH改善度、全般改善度、有用度でマキサカルシトール投与群はプラセボ投与群に比し有意に優れ、明らかな二次性副甲状腺機能亢進症改善効果が認められた。
5μg/回の安全性評価対象例5例では副作用は認められなかった。
10μg/回の安全性評価対象例17例中8例(47.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症7例(31.8%)等であった。
国内一般臨床試験
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全維持透析患者161例を対象とした本剤26週間投与の長期投与試験において、血清カルシウム上昇に留意しながらマキサカルシトールを投与することで、PTH抑制の維持効果が持続することが示された。
安全性評価対象例160例中87例(54.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症77例(48.1%)、CPK上昇13例(8.1%)、そうよう感9例(5.6%)等であった。
2)第Ⅲ相二重盲検比較試験(2000年7月3日承認、申請資料概要 ト.4(4))
3)黒川清, 他. 腎と透析. 2000;48(6):875-97.
4)秋澤忠雄,黒川 清Clin Calcium, 12:781,2002
FAQ
- 静脈内投与は可能ですか、また投与タイミングを教えて下さい。
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静脈内投与は適応外使用となります。
オキサロール注の用法・用量は「1回2.5~10μgを週3回、透析終了直前に、透析回路静脈側に注入(静注)する。」となっております。
- 光に対する安定性を教えて下さい。
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オキサロール注は「凍結を避け、10℃以下で保存」、「外箱開封後は遮光して保存」の薬剤です。10℃以下の遮光下の条件で保存した薬剤の使用をお願いします。
オキサロール注2.5μgを褐色アンプルのまま、室温で室内散光下(約1500lx)24時間放置後においても、含量の低下及び類縁物質の増加は認めませんでした。
苛酷試験における光安定性(5℃、2.5μgおよび10μg)の試験結果は次の通りです。
<積算照度 白色光:120万lx・hr>
紙器 2.5μg:含量102.4%、10μg:含量102.7%
褐色アンプル 2.5μg:含量98.8%、10μg:含量101.1%<積算照度 近紫外光200W・hr/m2>
紙器 2.5μg:含量102.3%、10μg:含量102.7%
褐色アンプル 2.5μg:含量98.0%、10μg:含量99.5% - 室温での安定性について教えて下さい。
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オキサロール注は「凍結を避け、10℃以下で保存」の薬剤です。10℃以下の条件で保存した薬剤の使用をお願いします。
・貯法等
貯法:凍結を避け、10℃以下で保存
取扱い上の注意:外箱開封後は遮光して保存すること。オキサロール注2.5μgを褐色アンプルのまま、室温で室内散光下(約1500lx)24時間放置後においても、含量の低下及び類縁物質の増加は認めませんでした。
加速試験(2.5μg、10μg)の結果は次の通りです。
<25℃、9箇月>
2.5μg:含量98.8~101.5%、類縁物質の増加
10μg:含量99.8~100.6%、類縁物質の増加<15℃、12箇月>
2.5μg:含量99.3~101.4%
10μg:含量102.0~102.8%(社内資料)
- アンプル開封後の安定性(シリンジ保存時)について教えて下さい。
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アンプル開封後は速やかに使用するようお願いします。
<社内データ>製剤の各種条件下における安定性
アンプル開封後、シリンジに保存した時の安定性試験では、室温散光下で3時間まで大きな含量低下は認められていませんが、6時間後では含量が91.4~95.4%、24時間後では含量が77.3~83.1%と経時的に含量が低下しています。
[条件]
室温(25℃付近)
散光下(照度960-1000Lx、蛍光灯18W、光源からの距離22cm) - ロカルトロール注からオキサロール注に切替える場合の投与方法を教えて下さい。
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カルシトリオール注およびオキサロール注を臨床でクロスオーバーし有効性・安全性を検証した報告はありません。
オキサロール注の開始にあたっては、切替えに関わらず、血清インタクト副甲状腺ホルモン(intact-PTH)[あるいは血清高感度副甲状腺ホルモン(HS-PTH)]により初回投与量が定められているため、intact-PTH値に注意してください。
intact-PTH 500pg/mL未満(あるいはHS-PTHが40,000pg/mL未満)では、オキサロール注を1回5μg、500pg/mL以上(あるいはHS-PTHが40,000pg/mL以上)では、1回10μgから開始する。
- 高カルシウム血症の発症頻度と対処法を教えて下さい。
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オキサロール注には血清カルシウム上昇作用が認められます。
オキサロール注の承認時までの臨床試験、使用成績調査、特定使用成績調査における安全性評価対象例4,196例中、1,115例(26.6%)、1,316件の副作用が認められました。高カルシウム血症は、923件(22.2%)でした。高カルシウム血症によることが考えられる臨床症状(そう痒感、いらいら感など)の出現に注意してください。
<観察項目>
血清カルシウム値の上昇は用量依存的なので、血清カルシウム値を定期的(少なくとも2週に1回)に測定し、11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えないよう投与量を調節してください。<対処法>
血清カルシウム値が11.0mg/dL(5.5mEq/L)を超えたときには、さらに測定頻度を高くし(週に1回以上)、減量あるいは中止してください。投与の再開については、血清カルシウム値が11.0mg/dL(5.5mEq/L)未満に回復したことを確認した後に投与量を減じて行ってください。
<設定理由>
オキサロール注の作用として血清カルシウム値の上昇作用が認められ、臨床試験において高頻度に発現していることから重大な副作用の項に記載しました。