エミレース
エミレース錠3mg/10mg
一般名:ネモナプリド
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開発の経緯2)~5)
山之内製薬(現アステラス製薬)は、1975年(昭和50年)頃、中枢性抗ドパミン作用を持つ一連のベンズアミド誘導体を発見した。また、この頃同じベンズアミド系のスルピリドに抗精神病作用があることが報告された。そこで、新しい抗精神病薬の創製を目的としたベンズアミド系の化合物の合成とスクリーニングを更に進め、1978年(昭和53年)にD2-ドパミン受容体遮断薬であるネモナプリドを発見した。1982年より臨床試験を行い、錠剤は1991年3月に「エミレース錠3mg」「エミレース錠10mg」の販売名にて承認を取得し、細粒剤は1994年2月に「エミレース細粒2%」の販売名にて承認を取得した。その後、エミレース細粒2%のみ2011年9月に販売を中止している。
1999年3月、薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないとの再審査結果を得た。2018年4月、LTLファーマ株式会社はエミレース錠3mg、同10mgの製造販売承認を承継した。
治療学的特性1)
- D2-ドパミン受容体遮断作用は、選択的であった。
- 幻覚・妄想などの異常体験に対して、抗精神病作用を示した。
- 承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例6,431例中、本剤との関連が疑われる副作用(臨床検査値異常を含む)は、1,268例(19.7%)に発現し、その主なものはアカシジア、振戦、筋強剛等の錐体外路症状であった。
使用成績調査において発現頻度が高かった臨床検査値異常は、プロラクチン上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、AST(GOT)上昇、CK(CPK)上昇等であり、承認時までの調査結果と同様な傾向であった。 - 重大な副作用としては悪性症候群(Syndrome malin)、無顆粒球症、白血球減少、肝機能障害、黄疸、肺塞栓症、深部静脈血栓症が報告されている。
副作用の項を参照
禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 昏睡状態の患者、又はバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[本剤の作用が過度にあらわれるおそれがある。]
- パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]
〈解説〉
「認知症を伴うパーキンソン病」はパーキンソン病の病態の一部であるが、近年、「認知症を伴うパーキンソン病」と「レビー小体型認知症」の病態の類似性が示されていることから、現行、パーキンソン病の患者への投与について「禁忌」の項にて注意喚起がなされている上記医薬品において、「レビー小体型認知症」についても併せて明確に注意喚起を行うことが適切と考えた。これを受けて発出された厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知 薬生安発 0331第1号(令和2年3月31日)に基づき、「禁忌」を改訂した
効能又は効果
統合失調症
用法及び用量
通常、成人にはネモナプリドとして1日9~36mgを食後に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日60mgまで増量することができる。
重要な基本的注意
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
- 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
相互作用
〈併用注意(併用に注意すること)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等) ペントバルビタールナトリウム等 |
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、必要に応じ本剤を減量すること。 | 本剤は中枢ドパミン受容体遮断作用を有し、両剤の相加的中枢神経抑制作用を示す。 |
| アルコール(飲酒) | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、必要に応じ本剤を減量すること。 | アルコールは中枢神経抑制作用を有し、両剤が相加的に作用する。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、 異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈重大な副作用〉
悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお、他の抗精神病剤で、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、黄疸等があらわれることがある。
肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈その他の副作用〉
| 5%以上 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | |
|---|---|---|---|
| 錐体外路症状 | パーキンソン症候 群(振戦、筋強剛、流涎等)、ジスキネジア(舌のもつれ、言語障害、眼球回転、急性ジストニア、嚥下困難等)、アカシジア(静坐不能) | 口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア) | |
| 精神神経系 | 不眠、不安、傾眠、 眠気、過剰鎮静、興奮、無力症、うつ状態、知覚異常、脱力倦怠感、焦燥感、イライラ感、頭痛、めまい・ふらつき | 痙攣発作、 躁状態等 | |
| 自律神経系 | 口渇、発汗、尿閉 | ||
| 内分泌 | 月経異常、乳汁分泌 | ||
| 眼 | 霧視 | ||
| 循環器 | 血圧低下、心悸亢進 | 血圧上昇、 徐脈、心電図変化等 | |
| 肝臓 | AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・γ-GTP上昇等の肝機能障害 | ||
| 消化器 | 便秘、嘔気、嘔吐、食欲不振 | 食欲亢進、 下痢等 | |
| 皮膚 | 発疹 | ||
| Other | 貧血、体重増加 | 体重減少等 |
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください
臨床成績
有効性及び安全性に関する試験
国内臨床試験2)~5)
統合失調症を対象とした最終全般改善度
| 試験名 | 中等度改善以上 |
|---|---|
| 用量設定試験 | 68/220(30.9%) |
| 二重盲検比較試験 | 51/173(29.5%) |
| 計 | 119/393(30.3%) |
用量設定試験では、統合失調症患者に対し漸増漸減法にて本剤を6又は9~60mg/日を8週間投与。
二重盲検比較試験では、統合失調症患者に対し本剤を9~36mg/日を8週間投与。
本剤の承認された1日用量は、9~36mgである
2)村崎光邦 他:薬理と治療. 1989;17(9):4347-4365
3)工藤義雄 他:臨床医薬. 1989;5(9):1813-1840
4)森 温理 他:臨床評価. 1989;17(3, 4):349-377
5)工藤義雄 他:臨床医薬. 1989;5(10):2149-2175