ローガン
ローガン錠10mg
一般名:アモスラロール塩酸塩
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開発の経緯1)
山之内製薬(現 アステラス製薬)では、交感神経のα及びβ受容体をともに遮断する薬剤が、αあるいはβ受容体をそれぞれ単独に遮断する薬剤の欠点を補い、また本態性高血圧の血行動態の改善に優れた作用を期待できると考え、1976年より3-sulfamoyl phenylethylamine誘導体で、α1遮断作用による降圧作用(末梢血管抵抗の減少作用)が強く、それに伴う反射性の頻脈及びレニン分泌の増加を抑制するのに必要な比較的弱いβ遮断作用を有する化合物を指向した。その結果、α1及びβ受容体を同程度に遮断し、末梢血管抵抗を低下させ、血圧を下降させる観点から塩酸アモスラロールを発見し、1988年3月には承認を取得して同年7 月に販売名「ローガン錠10mg」を発売した。その後販売名「ローガン錠20mg」を1991年11月に承認を取得し、1992年7月より発売を開始し、2011年3月製造販売を中止した(経過措置期間満了:2012年3月)。
1988年3月29日~1994年3月28日に使用成績調査を行った結果、1996年3月7日薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないとの再審査結果を得た。
なお、有効成分である「塩酸アモスラロール」及び製剤の「塩酸アモスラロール錠」は第15改正日本薬局方第1追補(2006)に収載され、それぞれ「アモスラロール塩酸塩」及び「アモスラロール塩酸塩錠」に名称変更された。
2017年10月、LTLファーマ株式会社はローガン錠10mg(以下、本剤)の製造販売承認を承継した。
治療学的特性1)
- α・β 遮断薬である。
- 本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症に有用性を示す。
- 反射性の頻脈を起こすことなく全末梢血管抵抗を下げて降圧効果を示す。
- 承認時及び市販後使用成績調査時の副作用発現率は3.15%(232例/7,363例)であり、主な副作用はめまい、立ちくらみで、次いでふらふら感、AST上昇、ALT上昇であった。(再審査結果通知:1996年3月)
副作用の項を参照
禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 心原性ショックのある患者[心臓のポンプ機能が低下するおそれがある。]
- 高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロックのある患者[陽性変時作用、陽性変伝導作用を抑制するおそれがある。]
- うっ血性心不全のある患者[心臓のポンプ機能が低下するおそれがある。]
- 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
- 肺高血圧による右心不全のある患者[心臓のポンプ機能低下により、症状が悪化するおそれがある。]
- 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[喘息症状の誘発及び悪化を招くおそれがある。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能又は効果
- 本態性高血圧症
- 褐色細胞腫による高血圧症
用法及び用量
通常成人にはアモスラロール塩酸塩として1日20mgより投与を開始し、効果不十分な場合は1日60mgまで漸増し、1日2回に分割、経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
重要な基本的注意
- 投与は少量より開始し、長期投与の場合は心機能検査(心電図、X線等)を定期的に行うこと。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。
- 初期投与量が多すぎたり、急速に用量を増加したとき、起立性低血圧、徐脈があらわれることがある。このような場合には、仰臥位をとらせるなどの適切な措置を講じること。また、必要に応じて対症療法を行うこと。
- β遮断剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合には徐々に減量し、十分に観察を行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。特に高齢者においては注意すること。
- 褐色細胞腫の手術時に使用する場合を除き、手術前24時間は投与しないことが望ましい。
- めまい・立ちくらみ等があらわれることがあるので高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させること。
相互作用
〈併用注意(併用に注意すること)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 交感神経抑制剤 レセルピン 等 |
過度の交感神経抑制を来すことがあるので、減量するなど注意すること。 | 薬理学的相互作用により、交感神経抑制作用を増強させると考えられている。 |
| 血糖降下剤 インスリン グリベンクラミド アセトヘキサミド 等 |
血糖降下作用が増強することがある。 また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。 |
低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β遮断作用により低血糖の回復を遅らせることがある。 |
| カルシウム拮抗剤 ベラパミル塩酸塩 ジルチアゼム塩酸塩 等 |
徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。 併用する場合には、用量に注意すること。 |
薬理学的相互作用により、陰性変力作用、心刺激伝導抑制作用、降圧作用を増強させると考えられている。 |
| クラスⅠ抗不整脈剤 ジソピラミド プロカインアミド塩酸塩 アジマリン 等 |
過度の心機能抑制があらわれることがあるので、減量するなど注意すること。 | 薬理学的相互作用により、心機能抑制作用を増強させることがある。 |
| 降圧作用を有する薬剤 降圧剤 硝酸剤 等 |
本剤の降圧作用が増強することがある。 併用する場合には用量に注意すること。 |
薬理学的相互作用により降圧作用を増強させることがある。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈その他の副作用〉
| 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
|---|---|---|---|
| 過敏症 | 発疹 | 発赤、そう痒 | |
| 精神神経系 | 頭痛、眠気、めまい、立ちくらみ | 頭重感、不眠、耳鳴り、しびれ | |
| 循環器 | 徐脈、動悸 | 胸部圧迫感、心不全 | |
| 眼 | 涙液分泌減少、眼のしょぼしょぼ感 | 霧視 | |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | Al-P上昇、LDH上昇 | |
| 呼吸器 | 喘息様症状 | ||
| 消化器 | 嘔気、食欲不振 | 嘔吐、腹痛、口渇、下痢 | |
| 泌尿器 | 頻尿、尿失禁 | ||
| Other | 鼻閉、倦怠感、浮腫 | CK上昇、抗核抗体の陽性化、脱力感、唇・舌の荒れ、ほてり |
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果(期間:1988年3月29日~1994年3月28日)に基づいている。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください
臨床成績
有効性及び安全性に関する試験
〈本態性高血圧症〉
国内二重盲検試験
本態性高血圧症に対し、アモスラロール塩酸塩の多施設二重盲検群間比較試験(1日20mg~60mg、漸増法、12週投与)を実施し、有効性が認められた。試験は、単独投与と利尿薬との併用投与に分けて行った。
| 投与法 | 有効率(有効以上) | 症例数 |
|---|---|---|
| 単剤 | 61.0% | 47/77 |
| 併用薬あり | 66.7% | 40/60 |
副作用は、単独投与群99例中17例(17.2%)、併用投与群81例中22例(27.2%)に認められ、発現率は対照群と有意差はなかった。主な副作用は、頭痛・頭重、めまい・立ちくらみ、悪夢、不眠、耳鳴り、皮膚症状であった。
国内臨床試験(用法・用量検討試験)
本態性高血圧症に対するアモスラロール塩酸塩の用法・ 用量検討試験(1日10mg~80mg注)、漸増法、1週~3週投与)の結果を以下に示す。
| 有効率(有効以上) | 症例数 |
|---|---|
| 59.3% | 32/54 |
副作用は、79例中10例(12.7%)に認められた。主な副作用は、頭痛・頭重、ふらふら感、食欲不振、発赤・発疹であった。
国内臨床試験(一般臨床試験)
本態性高血圧症に対するアモスラロール塩酸塩の一般臨床試験(6件)(1日10mg~80mg注)、漸増法、8週~26週投与)の結果を以下に示す。
| 有効率(有効以上) | 症例数 |
|---|---|
| 67.7% | 195/288 |
副作用は、372例中48例(12.9%)に認められた。主な副作用は、めまい・立ちくらみ・ふらふら感、食欲不振、浮腫、発疹であった。
国内臨床試験(長期投与試験)
本態性高血圧症に対するアモスラロール塩酸塩の長期投 与試験(1日20mg~60mg、漸増法、1 年投与)の結果を以下に示す。
| 有効率(有効以上) | 症例数 |
|---|---|
| 62.7% | 52/83 |
副作用は、106例中12例(11.3%)に認められた。主な副作用は、頭痛、脱力倦怠感、鼻閉、気管支喘息の発作、悪心・食欲不振であった。
〈褐色細胞腫による高血圧症〉
国内臨床試験
褐色細胞腫による高血圧症に対するアモスラロール塩酸塩の臨床試験(1日20mg~120mg注)、漸増法、6日~43日投与)の結果を以下に示す。
| 有効率(有効以上) | 症例数 |
|---|---|
| 90.5% | 19/21 |
副作用は、21例中5例(23.8%)に認められた。副作用は、立ちくらみ、頭痛、めまい、全身倦怠感であった。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常成人にはアモスラロール塩酸塩として1日20mgより投与を開始し、効果不十分な場合は1日60mgまで漸増し、1日 2 回に分割、経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。」である。