適正使用ハンディガイド
セファメジンα
セファメジンα筋注用0.25g/0.5g、セファメジンα注射用0.25g/0.5g/1g/2g、セファメジンα点滴用キット1g/2g
一般名:セファゾリンナトリウム



禁忌(次の患者には投与しないこと)
〈筋注用〉0.25g/0.5g
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
リドカイン等のアニリド系局所麻酔剤に対し、過敏症の既往歴のある患者[添付の溶解液はリドカインを含有している。]
禁忌(次の患者には投与しないこと)
〈注射用〉0.25g/0.5g/1g/2g 〈点滴用キット〉1g/2g
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
開発の経緯
セファメジン(セファゾリンナトリウム)は藤沢薬品(現 アステラス製薬)研究所において開発された国産初のセファロスポリン系誘導体である。
セファゾリンはグラム陽性・陰性菌に抗菌スペクトルを有し、その作用は殺菌的で、特にブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌及び大腸菌、肺炎桿菌に対して抗菌力を示し、体内ではほとんど代謝されることなく尿中に排泄され胆汁中へも移行する。
- 1971年5月
- セファメジン筋注用、セファメジン注射用発売。
- 1990年3月
- 溶解操作時の無菌性、投薬調製時の過誤の防止、操作の簡便性を特徴とした溶解液との一体型キット (バイアル型)発売。
- 1999年7月
- セファゾリンナトリウムの五水和物であるα型結晶製剤のセファメジンαを発売。
- 2000年7月
- 操作が簡便で、分別廃棄の不要なプラスチックを主体とした全て可燃性のノンバイアルキットを発売。
- 2015年11月
- 薬剤用容器と溶解液容器を組合せ、用時連通部を開放し薬剤を溶解できるようにしたプラスチックダブルバッグ製剤を発売。
製剤学的特性
セファゾリンナトリウムの五水和物であるα型結晶は凍結乾燥品に比べて光安定性に優れていることが知られていたが、高温下での熱安定性の面でさらに改善を必要としたため、α型結晶の熱安定性の改善に関する検討を行い、含水量をコントロールすることにより光及び熱にも安定なα型結晶(一般名:セファゾリンナトリウム水和物)を得ることに成功した。
セファゾリンナトリウム水和物は、従来の凍結乾燥品に比べて品質及び安定性に優れ、溶解時間も短縮できることが確認された。

2023年8月改訂(第2版)セファメジンα注射用電子添文
PHARMA TECH JAPAN Vol.15 No10(1999) 1523
作用部位・作用機序
作用機序
作用機序は細菌細胞壁の合成阻害であり、ペニシリン結合蛋白(PBP)に結合親和性を有する。

抗菌作用
抗菌スペクトルはグラム陽性菌、グラム陰性菌の広範囲にわたっており、特にグラム陽性球菌ではブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、グラム陰性桿菌では、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、プロビデンシア属に抗菌力を示す。作用形式は殺菌的である(in vitro)。
本剤での薬理試験等は実施していないが、本剤を溶解したものはセファメジン注射用、筋注用と同一のものであるので、セファメジン注射用、筋注用の成績を示した。
適応菌種
| グラム陽性菌 | グラム陰性菌 | |||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 球菌 | 桿菌 | 球菌 | 桿菌 | |||||||||||
| ブドウ球菌属 | レンサ球菌属 | 腸球菌 | 肺炎球菌 | ジフテリア菌 | 炭疽菌 | クロストリジウム属属 | アクネ菌 | 淋菌 | 髄膜炎菌 | 百日咳菌 | 赤痢菌 | 大腸菌 | 肺炎桿菌 | サルモネラ属 |
| ○ | ○ | – | ○ | – | – | – | – | – | – | – | – | ○ | ○ | – |
| グラム陰性菌 | Other | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 桿菌 | ||||||||||||
| クレプシェラ属 | シトロバクター属 | エンテロバクター属 | セラチア属 | プロテウス属 | インフルエンザ菌 | カンピロバクター属 | レジオネラ属 | 緑膿菌 | マイコプラズマ属 | 梅毒トレポネーマ | リケッチア属 | クラミジア属 |
| – | – | – | – | ○ | – | – | – | – | – | – | – | – |
セファメジンαの適応菌種のプロビデンシア属はグラム陰性の桿菌で、大腸菌科に属する細菌群です。
効能又は効果に関連する注意
〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎〉
「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
重要な基本的注意
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、 原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
経静脈抗菌薬から経口抗菌薬への切り替えが可能な推奨基準
- 臨床症状が改善している
- 24時間38℃未満の解熱を維持しており、呼吸・循環動態が安定している
- 静注抗菌薬による治療継続が必要な感染症(例:髄膜炎、発熱性好中球減少症、感染性心内膜炎等)ではない
- 経口もしくは経鼻胃管での投与が可能で、かつ、十分な吸収が見込まれる
- 適切な経口抗菌薬の選択肢がある
- 患者が経口抗菌薬を自己中断せず継続可能である(外来等の場合)
抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(厚生労働省) 2026年1月16日発行より
WHOのAWaRe分類でセファゾリンはACCESS薬剤です
WHOは、抗菌薬を「Access」、「Watch」、「Reserve」(AWaRe)の3つのグループに分類しています。
| Access | 一般的な感染症に対して第一選択又は第二選択として使用される抗菌薬の多くが含まれる。これらは多くの患者に安全かつ効果的に使用でき、高品質、低コストで利用できる他、耐性化したとしても他の選択肢があるので、耐性化した際の不利益が少ないとされている。 |
|---|---|
| Watch | 耐性化した際に取り得る他の選択肢が少ないため、限られた疾患や適応にのみ使用が求められる抗菌薬である。これらの薬剤は重要な医療上の用途がある一方で、不適切な使用が臨床上重要な薬剤耐性菌の急速な拡大につながる可能性があるとされている。 |
| Reserve | 多剤耐性菌による重篤な感染症に対する「最後の切り札」として温存すべき抗菌薬のグループである。耐性化した際に取り得る他の選択肢が非常に少ないため、限られた臨床状況において、他の抗菌薬の効果がない場合にのみ使用されるべき抗菌薬である。 |
抗微生物薬適正使用の手引き
良く遭遇する感染症の短期治療期間の例(留意点を含む)
| 感染症 | 長期治療期間 | 短期治療期間 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 非重症の市中肺炎 | 10~14日間 | 3~5日間 | 黄色ブドウ球菌や緑膿菌による肺炎では最低7日間。 真菌による肺炎、あるいは膿胸や肺膿瘍の合併があればより長期治療が必要。 短期治療例は臨床的な安定(※)が得られることが条件。 重症例(例:ICU入室例等)において短期治療期間の安全性を示したRCTはない。 ※臨床的な安定の例: ・37.8℃未満に解熱 ・肺炎に伴う以下のバイタルサイン異常が1つ以下 ・収縮期血圧<90 mmHg ・心拍数>100/分 ・呼吸数>24/分 ・SpO2≦90%又はPaO2≦60 mmHg(室内気) |
| VAPを含む院内肺炎 | 14~15日間 | 7~8日間 | 緑膿菌によるVAPのRCT:8日間治療は15日間治療に対し非劣性を示せず。 重症例や免疫抑制患者、ブドウ球菌や耐性菌が原因等の状況では、短期治療の適応とならない場合もある。 |
| 女性の非複雑性膀胱炎 | 3(~7)日間 | - | ST合剤やフルオロキノロン系抗菌薬であれば3日間、クラブラン酸/アモキシシリン等β-ラクタム系抗菌薬であれば3~7日間。アミノグリコシド系抗菌薬であれば単回投与。 |
| 女性の非複雑性腎盂腎炎、CAUTI | 10~14日間 | 5~7日間 | 短期治療のエビデンスはフルオロキノロン系抗菌薬によるものが多い。 大腸菌でフルオロキノロン系抗菌薬・ST合剤の感性率低下。 非複雑性グラム陰性菌菌血症と重複があり、β-ラクタム系抗菌薬による7日間治療も有効性を期待できる可能性。 プロペンシティ・スコア・マッチングを用いた後ろ向き研究において、CA-UTIを含む、菌血症を伴う複雑性UTIにおいて、静注β-ラクタム系抗菌薬による治療で完遂する、もしくはバイオアベイラビリティに優れた経口抗菌薬で治療可能であれば、7日間治療が14日間治療と同等な可能性が示唆、それ以外の場合は10日間治療が必要と示唆。 |
| 男性の有熱性UTI | 14日間 | - | 前立腺炎:3~4週間治療を推奨する専門家もいる。 7日間の短期治療はRCTで14日間に劣性と報告。 |
| 非重症の蜂窩織炎 | 10日間 | 5~6日間 | 壊死性筋膜炎や皮下膿瘍は一般的に外科的介入が必要。 重症例のRCTでは6日治療群で12日治療群と比較し90日後の再燃が有意に多かったと報告。 |
| 非複雑性CRBSI | CNS:5~7日間 腸球菌、グラム陰性菌:7~14日間 黄色ブドウ球菌、カンジダ:血液培養陰性化から最低14日間 |
- | いずれも72時間以内の解熱と血液培養の陰性化、カテーテルの抜去及び感染性心内膜炎及び化膿性血栓性静脈炎がないことが前提。 黄色ブドウ球菌については4週間の治療が基本だが、上記の前提に加えて糖尿病や免疫不全がないこと、血管内人工物がなく、播種性感染を疑う所見がない、のすべてを満たす場合に血液培養陰性化から14日間に短縮できる可能性がある。 |
| 急性胆嚢炎 | 7~14日間 | 軽症~中等症:胆嚢摘出後24時間 重症:胆嚢摘出後4~7日間 |
ただし、腸球菌や連鎖球菌等グラム陽性菌の菌血症を合併している場合には14日間以上の治療が推奨。 軽症の場合も術中に胆嚢壊疽や気腫性変化があれば4~7日間治療を推奨。 |
| 急性化膿性胆管炎 | 4~7日間 | 3~5日間 | 観察研究・小規模なRCTでは短期治療(3~5日間)で長期治療に劣らない可能性が示唆され、現在RCTが進行中。 |
| ドレナージが十分になされた消化管穿孔による腹膜炎、術後腹腔内感染症 | 10~15日間 | 4~8日間 | 手術等によりソースコントロールが良好にできている場合に短期治療が考慮される。 ソースコントロールが不十分な場合には重症度、治療による血行動態や症状所見の変化、画像評価の結果等から総合治療期間を決定する。 免疫不全のある症例や重症例、血液培養陽性の場合に短期治療が適用できるかのデータは不十分。 |
| 菌血症 | 14日間 | 7日間 | グラム陽性菌も含めたRCTは1件のみ。 黄色ブドウ球菌、S. lugdunensisによる菌血症、カンジダ血症、抗酸菌やそのほか長期治療の必要な微生物による菌血症は対象外。 感染性心内膜炎、関節炎、骨髄炎は対象外。 人工物関連感染や膿瘍の場合、ソースコントロールができていることが必要。 造血幹細胞移植・固形臓器移植レシピエント、好中球減少、ステロイド・免疫抑制剤の使用等の免疫不全はRCTの対象外となっている。 |
| 非複雑性黄色ブドウ球菌菌血症 | 血液培養陰性化から28~42日間 | 血液培養陰性化から14日間 | 「薬剤耐性菌感染症の抗菌薬適正使用編」第1章(1)黄色ブドウ球菌 治療③の項目の条件をすべて満たす場合に短期治療が適応となる可能性がある。 |
臨床成績(有効性及び安全性に関する試験)
国内臨床試験
比較試験(呼吸器感染症、尿路感染症)及び一般臨床試験(静注、点滴静注、筋注を含む)における疾患別有効率は以下のとおりである。
| 疾患名 | 有効数/症例数 | 有効率(%) | |
|---|---|---|---|
| 敗血症 | 6/9 | 66.7 | |
| 感染性心内膜炎 | 3/5 | 60.0 | |
| 皮膚感染症 | 表在性皮膚感染症(毛嚢炎) | 2/5 | 40.0 |
| 深在性皮膚感染症(ひょう疽、せ つ、カルブンケル、丹毒、フレグモーネ等) | 64/78 | 82.1 | |
| リンパ管・リンパ節炎 | 15/22 | 68.2 | |
| 慢性膿皮症(粉瘤、膿瘍) | 13/19 | 68.4 | |
| 外科・整形外科領域感染症 | 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 | 26/33 | 78.8 |
| びらん・潰瘍の二次感染(潰瘍、褥瘡) | 2/3 | – | |
| 乳腺炎 | 9/11 | 81.8 | |
| 骨髄炎 | 6/6 | 100 | |
| 関節炎 | 3/3 | – | |
| 呼吸器感染症 | 咽頭・喉頭炎 | 8/11 | 72.7 |
| 扁桃炎 | 46/48 | 95.8 | |
| 急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染(慢性気管支炎、気管支拡張症、慢性呼吸器疾患の二次感染) | 73/89 | 82.0 | |
| 肺炎 | 163/194 | 84.0 | |
| 肺膿瘍 | 14/22 | 63.6 | |
| 膿胸 | 9/13 | 69.2 | |
| 腎盂腎炎 | 105/149 | 70.5 | |
| 腹膜炎(腹膜炎、骨盤腹膜炎) | 35/43 | 81.4 | |
| 胆嚢炎、胆管炎 | 48/55 | 87.3 | |
| 婦人科感染症 | バルトリン腺炎 | 2/2 | – |
| 子宮内感染(子宮内感染、子宮頸管炎、子宮内膜炎) | 29/39 | 74.4 | |
| 子宮旁結合織炎 | 6/13 | 46.2 | |
| 全眼球炎 | 1/3 | – | |
| 耳鼻科感染症 | 中耳炎 | 51/63 | 81.0 |
| 副鼻腔炎 | 1/3 | – | |
| 化膿性唾液腺炎(顎下腺炎、化膿性耳下腺炎) | 1/3 | – | |
比較試験では、本剤0.5~4g/日を2~86日間投与。一般臨床試験では、本剤0.5~6g/日を1~71日間投与。なお、本剤の承認最大用量は1日5gである。
本剤での臨床試験は実施していないが、本剤を溶解したものはセファメジン注射用、筋注用と同一のものであるので、セファメジン注射用、筋注用の成績を示した。
副作用
副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用とその他の副作用は電子添文(筋注用)(注射用)(点滴用キット)をご確認ください。
注射用セファゾリンナトリウム(セファメジン注射用、筋注用)の調査での総症例84,799症例(1971年8月~1982年4月)における副作用症状の発現状況。
インタビューフォーム 2023年10月改訂(第20版)
【副作用症状別件数、発現頻度】
| 副作用の種類 | 発現件数 | 発現頻度(%) |
|---|---|---|
| 過敏症状 | ||
| 皮膚症状 | 451 | 0.53 |
| ショック・ショック様症状 | 7 | 0.01 |
| 発熱・悪寒 | 62 | 0.07 |
| 胸内苦悶 | 10 | 0.01 |
| しびれ感 | 7 | 0.01 |
| 血圧低下 | 1 | 0.001 |
| 心悸亢進 | 2 | 0.002 |
| 頻脈 | 1 | 0.001 |
| 気管支痙攣 | 2 | 0.002 |
| 顔面蒼白 | 2 | 0.002 |
| ボーッとする | 1 | 0.001 |
| 浮腫 | 2 | 0.002 |
| 咳嗽 | 1 | 0.001 |
| 咽頭部不快感 | 1 | 0.001 |
| 過敏性肺臓炎 | 2 | 0.002 |
| 消化器症状 | ||
| 悪心・嘔吐 | 103 | 0.12 |
| 食欲不振 | 47 | 0.06 |
| 下痢 | 48 | 0.06 |
| 血便 | 2 | 0.002 |
| 胃部不快感 | 18 | 0.02 |
| 腹部膨満感 | 4 | 0.005 |
| 便秘 | 3 | 0.004 |
| 口内炎 | 15 | 0.02 |
| 舌炎 | 2 | 0.002 |
| 適用部障害 | ||
| 静脈炎・血管痛 | 13 | 0.02 |
| 注射部位疼痛・硬結 | 70 | 0.08 |
| Other | ||
| 黄疸 | 4 | 0.005 |
| 腎機能異常 | 5 | 0.01 |
| カンジダ症 | 15 | 0.02 |
| 頭痛 | 15 | 0.02 |
| 不快・全身倦怠 | 14 | 0.02 |
| めまい | 3 | 0.004 |
| 耳鳴り | 1 | 0.001 |
| 透析時の神経症状 | 2 | 0.002 |
| 筋肉痛 | 1 | 0.001 |
| 疲労 | 1 | 0.001 |
| 発汗 | 2 | 0.002 |
| 計 | 940件(838例) | (0.99) |
コアリングの防止について
注射針の先端をゴム栓に対して斜めに刺すと、針によりゴム栓が削り取られる、いわゆるコアリングを生じる恐れがございます。
ゴム栓に穿刺する際は、ゴム栓の中央付近に針を垂直に刺し込むよう、お願いいたします。
コアリング防止の注意点

本薬剤についての詳細は、【電子添文】セファメジンα(筋注用)【電子添文】セファメジンα(注射用)【電子添文】セファメジンα(点滴用)またはインタビューフォームをご覧ください。