適正使用ハンディガイド
サワシリン

サワシリンカプセル125/250、サワシリン錠250、サワシリン細粒10%
一般名:アモキシシリン

サワシリンカプセル125
サワシリンカプセル250
サワシリン錠250
サワシリン細粒10%

禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

伝染性単核症の患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある。]

治療学的特性

  1. サワシリン(アモキシシリン水和物)は合成ペニシリンであり、経口投与により消化管から吸収され血中濃度及び組織中濃度を維持する。
  2. ブドウ球菌属、連鎖球菌属、PRSPを含む肺炎球菌、腸球菌属等のグラム陽性菌、及び淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌等のグラム陰性菌に対し抗菌作用を示す。作用形式は殺菌的であり、殺菌作用はアンピシリンより強い。
  3. アモキシシリン水和物はPenicillinaseによってアンピシリンと同程度分解され不安定であるが、Cephalosporinaseに対してはアンピシリンと同様安定であった。2)
  4. 安全性については、後に承認となったヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症において、総症例29,373例(カプセル・細粒)中、1,888例(6.4%)に、臨床検査値の異常変動を含む副作用が認められた。

1)2025年8月改訂(第5版) サワシリン電子添文​
2)三橋 進 他:日本化学療法学会雑誌 1973;21(8):1355-1358

WHOのAWaRe分類でアモキシシリンはACCESS薬剤です

WHOは、抗菌薬を「Access」、「Watch」、「Reserve」(AWaRe)の3つのグループに分類しています。

抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(厚生労働省)  2026年1月16日発行より
Access 一般的な感染症に対して第一選択又は第二選択として使用される抗菌薬の多くが含まれる。これらは多くの患者に安全かつ効果的に使用でき、高品質、低コストで利用できる他、耐性化したとしても他の選択肢があるので、耐性化した際の不利益が少ないとされている。
Watch 耐性化した際に取り得る他の選択肢が少ないため、限られた疾患や適応にのみ使用が求められる抗菌薬である。これらの薬剤は重要な医療上の用途がある一方で、不適切な使用が臨床上重要な薬剤耐性菌の急速な拡大につながる可能性があるとされている。
Reserve 多剤耐性菌による重篤な感染症に対する「最後の切り札」として温存すべき抗菌薬のグループである。耐性化した際に取り得る他の選択肢が非常に少ないため、限られた臨床状況において、他の抗菌薬の効果がない場合にのみ使用されるべき抗菌薬である。

作用部位・作用機序

作用部位

細菌の細胞壁

作用機序

  1. ペニシリンは細菌の細胞壁を合成するペプチドグリカン生合成の最終過程であるペプタイド転移酵素とD-アラニン-カルボキシペプチダーゼ反応とを阻害すると考えられている。
  2. β-lactamase に対する安定性
    アモキシシリン水和物はPenicillinaseによってアンピシリンと同程度水解され不安定であるがCephalosporinaseに対してはアンピシリンと同様安定であった。
  3. 効果は殺菌的(in vitro
    殺菌作用はアンピシリンより強い。
  4. 感受性菌の種類、MIC(in vitro
    ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属等のグラム陽性菌、及び淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌等のグラム陰性菌に対し抗菌作用を示す。作用形式は殺菌的であり、殺菌作用はアンピシリンより強い。

インタビューフォーム 2025年8月改訂(第35版)


効能又は効果に関連する注意

〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎〉

厚生労働省発信「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください

臨床成績(有効性及び安全性に関する試験)

〈ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症〉

●サワシリンカプセル/細粒

国内臨床試験

1,335例の一般臨床試験(カプセル、細粒)における成績概要は次のとおりである。また、3種の二重盲検比較試験においても本剤の有用性が認められている。

疾患名 有効率
有効以上(%) やや有効以上(%)
皮膚感染症 表在性皮膚感染症(毛嚢炎、膿痂疹) 23/35(65.7) 34/35(97.1)
深在性皮膚感染症(せつ、ひょう疽、蜂窩織炎等) 52/68(76.5) 59/68(86.8)
リンパ管・リンパ節炎 8/9(88.9) 8/9(88.9)
慢性膿皮症(感染粉瘤、膿瘍、膿皮症、ざ瘡) 19/29(65.5) 25/29(86.2)
外科・整形外科領域感染症 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 11/20(55.0) 15/20(75.0)
びらん・潰瘍の二次感染 3/7(42.9) 5/7(71.4)
乳腺炎 7/10(70.0) 8/10(80.0)
骨髄炎 6/9(66.7) 6/9(66.7)
呼吸器感染症 咽頭炎 9/10(90.0) 9/10(90.0)
扁桃炎 80/95(84.2) 82/95(86.3)
気管支炎 34/44(77.3) 38/44(86.4)
肺炎 58/68(85.3) 61/68(89.7)
尿路感染症 膀胱炎 215/270(79.6) 217/270(80.4)
腎盂腎炎(腎盂腎炎、腎盂炎) 41/63(65.1) 43/63(68.3)
前立腺炎 16/19(84.2) 16/19(84.2)
精巣上体炎(副睾丸炎) 2/2(-) 2/2(-)
淋菌感染症 59/68(86.8) 59/68(86.8)
婦人科感染症 子宮内感染 27/35(77.1) 27/35(77.1)
子宮付属器炎 31/38(81.6) 32/38(84.2)
子宮旁結合織炎 2/4(-) 2/4(-)
眼科感染症 涙嚢炎 2/4(-) 4/4(-)
麦粒腫 20/32(62.5) 26/32(81.3)
耳鼻科感染症 中耳炎 44/54(81.5) 45/54(83.3)
歯科・口腔外科領域感染症 歯周組織炎(歯槽骨炎、歯根膿瘍) 11/14(78.6) 11/14(78.6)
歯冠周囲炎(智歯周囲炎) 9/14(64.3) 12/14(85.7)
顎炎(顎骨周囲炎、急性顎炎) 12/18(66.7) 16/18(88.9)
猩紅熱 42/43(97.7) 43/43(100)

●アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びランソプラゾール併用時

国内臨床試験

ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした除菌の臨床試験(アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びランソプラゾールの3剤療法)における除菌率は下表のとおりである。

※培養法及び組織診断法の結果がいずれも陰性

胃潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
除菌率は基本解析対象集団を対象とした
各薬剤の1回投与量 投与回数 除菌率
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン200mg(力価)
ランソプラゾール30mg
2回/日 87.5% (84/96例)
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン400mg(力価)
ランソプラゾール30mg
2回/日 89.2% (83/93例)
十二指腸潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
各薬剤の1回投与量 投与回数 除菌率
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン200mg(力価)
ランソプラゾール30mg
2回/日 91.1% (82/90例)
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン400mg(力価)
ランソプラゾール30mg
2回/日 83.7% (82/98例)

臨床検査値の異常変動を含む副作用は、430例中217例(50.5%)に認められた。主な副作用は、軟便59例(13.7%)、下痢38例(8.8%)であった。
なお、米国及び英国で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の十二指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注1)においても、同程度の除菌率が認められている。
臨床検査値の異常変動を含む副作用は、548例中179例(32.7%)に認められている。

注1) 各薬剤の投与量、投与期間は下記のとおりであり、国内の承認用法・用量と異なる。
米国:アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回500mg(力価)及びランソプラゾールとして1回30mgの3剤を1日2回、10日間又は14日間経口投与
英国:アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回250mg(力価)及びランソプラゾールとして1回30mgの3剤を1日2回、7日間経口投与

●アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びオメプラゾール併用時

国内臨床試験

ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした国内の臨床試験における除菌率は下表のとおりである。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
( )内は例数
各薬剤の1回投与量 投与回数 除菌率
胃潰瘍 十二指腸潰瘍
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン400mg(力価)
オメプラゾール 20mg
2回/日 75.9% (44/58) 81.8% (45/55) 78.8% (89/113)

臨床検査値の異常変動を含む副作用は、113例中67例(59.3%)に認められた。主な副作用は、下痢24例(21.2%)、軟便21例(18.6%)であった。
なお、海外において、活動期又は瘢痕期の十二指腸潰瘍患者、活動期の胃潰瘍患者を対象とした試験注2)においても、同程度の除菌率が得られている。

注2) 各薬剤の投与量、投与期間は下記のとおりであり、国内の承認用法・用量と異なる。
アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回500mg(力価)及びオメプラゾールとして1回20mgの3剤を1日2回、7日間経口投与

●アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びラベプラゾールナトリウム併用時

国内臨床試験

ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした国内の臨床試験における除菌率は下表のとおりである。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
( )内は例数
各薬剤の1回投与量 投与回数 除菌率
胃潰瘍 十二指腸潰瘍
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン200mg(力価)
ラベプラゾールナトリウム 10mg
2回/日 87.7% (57/65) 83.3% (45/54) 85.7% (102/119)
アモキシシリン水和物750mg(力価)
クラリスロマイシン400mg(力価)
ラベプラゾールナトリウム 10mg
2回/日 89.7% (61/68) 87.8% (36/41) 89.0% (97/109)

臨床検査値の異常変動を含む副作用は、252例中95例(37.7 %)に認められた。主な副作用は、下痢42例(16.7%)、軟便26例(10.3%)であった。
なお、海外で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の胃・十二指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注3)においても、同程度の除菌率が得られている。

注3) 各薬剤の投与量、投与期間は下記のとおりであり、国内の承認用法・用量と異なる。
アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回500mg(力価)及びラベプラゾールナトリウムとして1回20mgの3剤を1日2回、7日間経口投与

臨床成績の追加情報

インタビューフォーム Ⅴ.治療に関する項目、5.臨床成績<参考>より
本剤は公知申請に基づき、下記の効能又は効果を取得した医薬品である。

胃MALTリンパ腫・免疫性血小板減少症・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

小児におけるヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症に対する最大投与量について

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

副作用

〈ヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎〉

胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症・アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びランソプラゾール併用の場合

承認時及び使用成績調査における副作用発現状況一覧
時期 承認時迄の調査 使用成績調査注) 合計
調査施設数 62 706 739
調査症例数 430 3,491 3,921
副作用発現症例数 217 318 535
副作用発現件数 419 425 844
副作用発現症例率(%) 50.47 9.11 13.64
副作用等の種類 発現症例数及び件数(%)
時期 承認時迄の調査 使用成績調査注) 合計
感染症および寄生虫症 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
白癬 1(0.23) 0 1(0.03)
咽頭炎 0 1(0.03) 1(0.03)
血液およびリンパ系障害 0 2(0.06) 2(0.05)
好酸球増加症 0 1(0.03) 1(0.03)
好中球減少症 0 1(0.03) 1(0.03)
代謝および栄養障害 1(0.23) 3(0.09) 4(0.10)
食欲不振 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
食欲減退 0 1(0.03) 1(0.03)
精神障害 2(0.47) 0 2(0.05)
うつ病 1(0.23) 0 1(0.03)
不眠症 1(0.23) 0 1(0.03)
神経系障害 20(4.65) 55(1.58) 75(1.91)
頭痛 2(0.47) 0 2(0.05)
浮動性めまい 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
味覚異常 15(3.49) 53(1.52) 68(1.73)
味覚減退 0 1(0.03) 1(0.03)
傾眠 2(0.47) 2(0.06) 4(0.10)
眼障害 1(0.23) 0 1(0.03)
アレルギー性結膜炎 1(0.23) 0 1(0.03)
心臓障害 0 1(0.03) 1(0.03)
動悸 0 1(0.03) 1(0.03)
血管障害 0 2(0.06) 2(0.05)
潮紅 0 2(0.06) 2(0.05)
呼吸器、胸郭および縦隔障害 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
咽喉頭疼痛 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
胃腸障害 112(26.05) 232(6.65) 344(8.77)
腸炎 1(0.23) 0 1(0.03)
出血性腸炎 0 1(0.03) 1(0.03)
食道炎 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
逆流性食道炎 2(0.47) 5(0.14) 7(0.18)
便秘 4(0.93) 2(0.06) 6(0.15)
下痢 38(8.84) 123(3.52) 161(4.11)
腹部不快感 1(0.23) 0 1(0.03)
腹部膨満 2(0.47) 2(0.06) 4(0.10)
腹痛 1(0.23) 6(0.17) 7(0.18)
下腹部痛 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
上腹部痛 0 3(0.09) 3(0.08)
季肋部痛 1(0.23) 0 1(0.03)
腸雑音異常 1(0.23) 0 1(0.03)
消化不良 2(0.47) 6(0.17) 8(0.20)
おくび 0 1(0.03) 1(0.03)
鼓腸 2(0.47) 0 2(0.05)
軟便 59(13.72) 74(2.12) 133(3.39)
悪心 1(0.23) 4(0.11) 5(0.13)
レッチング 1(0.23) 0 1(0.03)
胃不快感 0 1(0.03) 1(0.03)
水様便 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
嘔吐 2(0.47) 2(0.06) 4(0.10)
びらん性胃炎 1(0.23) 0 1(0.03)
びらん性十二指腸炎 2(0.47) 0 2(0.05)
アフタ性口内炎 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
口唇炎 2(0.47) 0 2(0.05)
口腔内不快感 0 4(0.11) 4(0.10)
口内炎 1(0.23) 11(0.32) 12(0.31)
口の感覚鈍麻 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
舌炎 0 3(0.09) 3(0.08)
舌痛 1(0.23) 1(0.03) 2(0.05)
舌障害 1(0.23) 0 1(0.03)
肝胆道系障害 0 1(0.03) 1(0.03)
肝機能異常 0 1(0.03) 1(0.03)
皮膚および皮下組織障害 18(4.19) 35(1.00) 53(1.35)
顔面浮腫 0 1(0.03) 1(0.03)
蕁麻疹 2(0.47) 4(0.11) 6(0.15)
全身性蕁麻疹 1(0.23) 0 1(0.03)
薬剤性皮膚炎 1(0.23) 7(0.20) 8(0.20)
湿疹 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
発赤 1(0.23) 0 1(0.03)
そう痒症 3(0.70) 5(0.14) 8(0.20)
発疹 9(2.09) 15(0.43) 24(0.61)
全身性皮疹 0 2(0.06) 2(0.05)
全身紅斑 0 2(0.06) 2(0.05)
全身性そう痒症 0 1(0.03) 1(0.03)
筋骨格系および結合組織障害 2(0.47) 0 2(0.05)
四肢不快感 2(0.47) 0 2(0.05)
腎および尿路障害 1(0.23) 0 1(0.03)
蛋白尿 1(0.23) 0 1(0.03)
生殖系および乳房障害 0 1(0.03) 1(0.03)
乳房痛 0 1(0.03) 1(0.03)
全身障害および投与局所様態 5(1.16) 4(0.11) 9(0.23)
熱感 0 1(0.03) 1(0.03)
悪寒 1(0.23) 0 1(0.03)
倦怠感 1(0.23) 2(0.06) 3(0.08)
末梢性浮腫 0 1(0.03) 1(0.03)
口渇 3(0.70) 0 3(0.08)
注)期間:2000年9月22日~2004年9月21日

本薬剤についての詳細は、電子添文またはインタビューフォームをご覧ください。