ディレグラ
ディレグラ配合錠
一般名:フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン
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開発の経緯1)
本剤は、有効成分として抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン塩酸塩(以下、「FEX」)及びα交感神経刺激薬である塩酸プソイドエフェドリン(以下、「PSE」)を含有する配合剤である。FEXは、テルフェナジンのカルボン酸型代謝物の塩酸塩として開発された薬剤である。本製剤の開発に際しては海外で既に市販されている Allegra-D12(FEX60mg、PSE120mg含有)の製剤技術をもとにサノフィ株式会社が開発した日本向けの製剤である。また、米国を主とする海外では、抗ヒスタミン薬とPSEの経口配合剤も複数承認され、使用されている。
本邦においてはPSEを有効成分とする医療用医薬品は販売されていなかったが、「鼻炎用内服薬製造(輸入)承認基準等について」(平成5年1月29日付 薬発第64号、各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)※において鼻炎症状の緩和を目的とした成分として収載されており(1日最大分量180mg)、一般用医薬品として第1世代抗ヒスタミン薬との組み合わせで鼻炎用内服薬やかぜ薬に配合されている。
第2世代の抗ヒスタミン剤であるFEXと、血管収縮作用を有するPSEを配合することにより、FEX単剤では鼻閉に十分な効果が得られないアレルギー性鼻炎患者において、鼻閉症状に対する改善効果を補うことを目的として開発され、「アレルギー性鼻炎」を効能・効果として2012年12月に承認を取得した。
2020年5月、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号(承認拒否事由)イからハまでのいずれにも該当しないとの再審査結果を得た。
2020年12月、LTLファーマ株式会社はディレグラ配合錠の製造販売承認を承継した。
2023年3月27日付、厚生労働省令第31号並びに第101号において、本剤の劇薬並びに処方箋医薬品の指定が解除された。
※本通知は「鼻炎用内服薬の製造販売承認基準について」(平成27年3月25日薬食発0325第23号)別紙「鼻炎用内服薬の製造販売承認基準」の施行に伴い廃止されている。
治療学的特性1)
- 第2世代抗ヒスタミン薬であるFEXに血管収縮作用を有するα交感神経刺激薬の PSEを配合した、本邦初の第2世代抗ヒスタミン薬の経口配合剤である。
- 中等症以上の鼻閉症状を有するアレルギー性鼻炎患者に対し、1剤で鼻閉症状を含むアレルギー性鼻炎の3大症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)に優れた改善効果を発揮する。2)
- 国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験において、鼻閉スコアの変化量についてFEXと比較したところ、ディレグラ配合錠のFEXに対する優越性が示された。2)
- 国内で実施された臨床試験において、FEXとPSEの配合剤が投与された患者で副作用が報告されたのは 347例中5例(1.4%)であり、頭痛2例(0.6%)、発疹 2例(0.6%)、疲労1例(0.3%)、口渇1例(0.3%)であった(承認時)。
重大な副作用としてショック、アナフィラキシー、痙攣、肝機能障害、黄疸、無顆粒球症、白血球減少、好中球減少、急性汎発性発疹性膿疱症が報告されている。
副作用の項を参照
製剤学的特性
本剤は徐放層を含む製剤であり、アレルギー性鼻炎と鼻閉に対する効果を持続するよう製剤設計されている。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 本剤の成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物(エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重症の高血圧の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 重症の冠動脈疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 閉塞隅角緑内障の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 尿閉のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある患者[塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用が強くあらわれるおそれがある。]
効能又は効果
アレルギー性鼻炎
効能又は効果に関連する注意
鼻閉症状が中等症以上の場合に本剤の使用を検討すること。
用法及び用量
通常、成人及び12歳以上の小児には1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する。
重要な基本的注意
- 本剤の使用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめ、鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること。本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は臨床試験では検討されていない。 2週を超えて投与する場合には患者の症状を確認しながら投与すること。
- 効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
相互作用
〈併用注意(併用に注意すること)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| エリスロマイシン | フェキソフェナジン塩酸塩の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある。 | P糖蛋白の阻害によるフェキソフェナジン塩酸塩のクリアランスの低下及び吸収率の増加に起因するものと推定される。 |
| 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤 | フェキソフェナジン塩酸塩の作用を減弱させることがあるので、同時に服用させないなど慎重に投与すること。 | 水酸化アルミニウム・水 酸化マグネシウムがフェキソフェナジン塩酸塩を一時的に吸着することにより吸収量が減少することによるものと推定される。 |
| 交感神経系に対し抑制的に作用する降圧剤 メチルドパ レセルピン |
降圧作用が減弱することがある。 | 塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用により、交感神経抑制作用を減弱する。 |
| 交感神経刺激薬 | 塩酸プソイドエフェドリンの心血管に対する作用が増強されることがある。 | 共に交感神経刺激作用を有するため。 |
| 選択的MAO-B阻害剤 セレギリン |
血圧上昇等が起こるおそれがある。 | セレギリンのMAO-B選択性が低下した場合、交感神経刺激作用が増強されると考えられる。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈重大な副作用〉
ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、血圧低下、意識消失、血管浮腫、胸痛、潮紅等の過敏症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣(頻度不明)
肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、LDHの上昇等があらわれることがある。
無顆粒球症、白血球減少、好中球減少(いずれも頻度不明)
急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
発熱、紅斑、多数の小膿疱等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと
〈その他の副作用〉
| 0.1~0.5%未満 | 頻度不明 | |
|---|---|---|
| 精神神経系 | 頭痛、疲労 | しびれ感、眠気、倦怠感、めまい、不眠、神経過敏、悪夢、睡眠障害、中枢神経刺激、激越、落ち着きのなさ、脱力、恐怖、不安、緊張、振戦、幻覚 |
| 消化器 | 口渇 | 便秘、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、虚血性大腸炎 |
| 過敏症 | 発疹 | 血管浮腫、そう痒、蕁麻疹、潮紅 |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | |
| 腎臓・泌尿器 | 頻尿、排尿困難、尿閉 | |
| 循環器 | 頻脈、動悸、血圧上昇、高血圧、不整脈、循環虚脱 | |
| その他 | 味覚異常、浮腫、胸痛、呼吸困難、食欲不振、蒼白、月経異常 |
過量投与
症状
〈フェキソフェナジン塩酸塩〉
外国での過量投与症例として、高用量を服用した2例の報告があり、1800mgを服用 した症例では症状はなく、3600mgを服用した症例では、めまい、眠気及び口渇がみられた。
〈塩酸プソイドエフェドリン〉
交感神経刺激薬を大量に投与すると、めまい感、頭痛、悪心、嘔吐、発汗、口渇、頻脈、前胸部痛、動悸、高血圧、排尿困難、筋力低下及び筋緊張、不安、落ち着きのなさ、不眠症、妄想や幻覚を伴う中毒性精神病、不整脈、循環虚脱、痙攣、昏睡、呼吸不全がみられることもある。塩酸プソイドエフェドリンの排泄は、尿pHが低下すると増加する。
処置
〈フェキソフェナジン塩酸塩〉
フェキソフェナジン塩酸塩は血液透析によって除去できない。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください
臨床成績
有効性及び安全性に関する試験
国内第2/3相臨床試験
季節性アレルギー性鼻炎患者(12歳以上)を対象に、フェキソフェナジン塩酸塩60mg/塩酸プソイドエフェドリン60mg(FEX60/PSE60群)注)、フェキソフェナジン塩酸塩60mg/塩酸プソイドエフェドリ ン120mg(FEX60/PSE120群)又はフェキソフェナジン塩酸塩60mg(FEX60群)を1日2回2週間投与した国内二重盲検比較試験の結果、投与前からの鼻閉スコアの変化量について、FEX60/PSE120群のFEX60群に対する優越性が検証された。
鼻閉スコア
| 投与群 | 症例数 | 投与前 | 期間平均 スコア |
鼻閉スコア 変化量 |
FEX60群との 対比較 |
|---|---|---|---|---|---|
| FEX60 | 173 | 2.40±0.42 | 2.26±0.55 | ‒0.14±0.55 | ‒ |
| FEX60/PSE60 | 173 | 2.43±0.42 | 2.20±0.57 | ‒0.23±0.59 | p=0.2993 |
| FEX60/PSE120 | 174 | 2.46±0.45 | 2.15±0.57 | ‒0.31±0.59 | p=0.0201 |
鼻汁スコア、くしゃみスコア、眼症状スコア
| 投与群 | 鼻汁スコア変化量 | くしゃみスコア変化量 | 眼症状スコア変化量 |
|---|---|---|---|
| FEX60 | ‒0.17±0.64 | ‒0.35±0.62 | ‒0.34±0.68 |
| FEX60/PSE60 | ‒0.23±0.62 | ‒0.31±0.62 | ‒0.41±0.62 |
| FEX60/PSE120 | ‒0.23±0.61 | ‒0.38±0.65 | ‒0.34±0.68 |
FEX60/PSE120群の副作用の発現率は2.3%(4/174例)であり、副作用は、頭痛が2例(1.1%)、全身性皮疹、疲労及び口渇が各1例(0.6%)であった。
注)本剤の承認用量はフェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg、1日2回である。
2)大久保 公裕:アレルギー・免疫. 2012;19(11):1770-1782