ロドピン
ロドピン錠25mg/50mg/100mg、ロドピン細粒10%/50%
一般名:ゾテピン
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開発の経緯1)
クロルプロマジンが統合失調症の治療に導入された1952年以降、三環構造の抗精神病薬の開発ではmiddle ringの七員環への変環、二重結合の導入などの修飾が行われ、種々の誘導体が合成されていた。藤沢薬品(現 アステラス製薬)研究所においてもこの基本骨格に注目し、各種誘導体を合成してスクリーニングを行った中から、ゾテピンが初めてのチエピン系抗精神病薬として可能性を有することを見いだした。
引き続いて1971年より毒性試験、催奇形性試験等を実施し、1972年より臨床試験を開始した。その結果、ゾテピンは効果及び忍容性が示され、統合失調症に対し有用性を有することが確認された。
1979年9月に製造承認申請を行い、統合失調症に対する有用性が確認され1981年12月7日に承認を取得し、1982年2月より販売が開始された。承認後1987年12月まで6年間にわたり使用成績調査を実施し、1988年2月に再審査申請を行った結果、薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないことが確認され、1989年1月再審査結果を得た。
2018年4月、LTLファーマ株式会社はロドピン錠25mg、同50mg、同100mg、ロドピン細粒10%、同50%の製造販売承認を承継した。
治療学的特性1)
- 抗ドパミン作用、抗セロトニン(5-HT)作用を有する(ラット)。
- 統合失調症の症状に臨床試験で効果が認められた。
- 総症例6,037例中副作用が報告されたのは1,712例で、発現頻度は28.36%であった。主な副作用は眠気334例(5.53%)、脱力・倦怠感197例(3.26%)、不眠182例(3.01%)、口渇177例(2.93%)、便秘171例 (2.83%)、めまい156例(2.58%)等である。2)(再審査結果通知:1989年1月)
重大な副作用として悪性症候群(Syndrome malin)、心電図異常、麻痺性イレウス、痙攣発作、無顆粒球症、白血球減少、肺塞栓症、深部静脈血栓症、遅発性ジスキネジア、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。
副作用の項を参照
禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 昏睡状態、循環虚脱状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
- バルビツール酸誘導体、麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]
- アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
- 本剤の成分、フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
統合失調症
用法及び用量
ゾテピンとして、通常成人1日75~150mgを分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日450mgまで増量することができる。
重要な基本的注意
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
相互作用
〈併用禁忌(併用しないこと)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く) (ボスミン) |
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | アドレナリンはα、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強される。 |
〈併用注意(併用に注意すること)〉
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 中枢神経抑制剤 バルビツール酸誘導体 麻酔剤 等 |
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する。 |
| 降圧剤 | 相互に降圧作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は降圧作用を有する。 |
| 抗コリン作用を有する薬剤 抗コリン性抗パーキンソン剤 三環系抗うつ剤 等 |
相互に抗コリン作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は抗コリン作用を有する。 |
| メトクロプラミド ドンペリドン |
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる。 | 本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有するため、併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。 |
| ドパミン作動薬 レボドパ等 |
相互に作用を減弱させることがある。 | 本剤は抗ドパミン作用を有するため、作用が拮抗する。 |
| アルコール 飲酒 |
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。 | ともに中枢神経抑制作用を有する。 |
| 有機燐殺虫剤 | 相互に作用し、有機燐殺虫剤の毒性を増強させるおそれがあるので、接触しないように注意すること。 | 有機燐殺虫剤の抗コリンエステラーゼ作用を増強し、その毒性を強めるおそれがある。 |
| アドレナリン含有歯科麻酔剤 リドカイン・アドレナリン |
重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | アドレナリンはα、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強されるおそれがある。 |
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈重大な副作用〉
悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
心電図異常(0.1~5%未満)
麻痺性イレウス(0.1%未満)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
痙攣発作(0.1~5%未満)
無顆粒球症、白血球減少(各0.1%未満)
肺塞栓症、深部静脈血栓症(各0.1%未満)
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
遅発性ジスキネジア(頻度不明)
長期投与により、ときに口周部等に不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症等、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害を伴うSIADHがあらわれることがあるので、このような場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
〈その他の副作用〉
| 5%以上 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | |
|---|---|---|---|
| 循環器 | 血圧降下、頻脈 | 不整脈、息苦しさ | |
| 消化器 | 便秘、悪心・嘔吐、食欲不振、腹部不快感 | 下痢、口内炎、食欲亢進、腹部膨満感 | |
| 肝臓 | 肝障害 | ||
| 錐体外路症状 | パーキンソン症候群(手指振戦、流涎、筋強剛、運動減少、歩行障害、膏顔、仮 面様顔貌等) | ジスキネジア(構音障害、眼球回転発作、嚥下障害、姿勢異常等)、アカシジア(静坐 不能) | |
| 精神神経系 | 眠気、脳波異常 | 不眠、不安・焦燥、不穏・興奮、易刺激、意識障害 | 性欲亢進 |
| 過敏症 | 発疹 | 皮膚そう痒感 | |
| 自律神経系 | 脱力・倦怠感、口渇、めまい、頭痛・頭重、鼻閉、排尿困難、しびれ感、失禁 | 発汗、頻尿 | |
| 内分泌 | 月経異常、乳汁分泌 | ||
| その他 | 血清尿酸低下 | 視覚障害、浮腫 | 発熱、味覚異常、体重増加、体重減少、瞳孔散大 |
発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
過量投与
症状
傾眠から昏睡までの中枢神経系の抑制、血圧低下、錐体外路症状があらわれる。その他、激越、情緒不安、痙攣、口渇、腸閉塞、心電図変化及び不整脈等があらわれる可能性がある。
その他の注意
臨床使用に基づく情報
- 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
- 外国で実施された高齢認知症患者を対象とし17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください
臨床成績
有効性及び安全性に関する試験
国内臨床試験
統合失調症666例を対象にした一般臨床試験(27試験)の概略は、以下のとおりである。
| 著明改善 | 中等度改善 | 軽度改善 | 不変 | 悪化 | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単独投与群 | 92 (22.1) |
82 (41.7) |
81 (61.2) |
130 | 32 [7.7] |
417 |
| 併用投与群 | 12 (4.8) |
41 (21.3) |
83 (54.6) |
81 | 32 [12.9] |
249 |
| 計 | 104 (15.6) |
123 (34.1) |
164 (58.7) |
211 | 64 [9.6] |
666 |
試験においては、ロドピン1日10~750mg(平均132.4mg)から投与が開始され、最高30~800mg(平均221.1mg)まで漸増するか、初回量が維持され、1~1,118日間(平均204.6日)主として1日3回毎食後分割して投与された。
なお、本剤投与前にどの薬剤にも反応しなかった、いわゆる難治症例の20%に中等度以上の改善が認められた。
また、二重盲検試験によって、本剤の有用性が認められている。
2)厚生省薬務局:医薬品副作用情報 1989;No.95