適正使用ハンディガイド
ペルジピン注射液

ペルジピン注射液2mg/10mg/25mg
一般名:ニカルジピン塩酸塩

ペルジピン注射液2mg
ペルジピン注射液10mg
ペルジピン注射液25mg

警告

本剤を脳出血急性期の患者及び脳卒中急性期で頭蓋内圧が亢進している患者に投与する場合には、緊急対応が可能な医療施設において、最新の関連ガイドラインを参照しつつ、血圧等の患者の状態を十分にモニタリングしながら投与すること。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

<効能共通>

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

<急性心不全>

高度な大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄、肥大型閉塞性心筋症、低血圧(収縮期血圧90mmHg未満)、心原性ショックのある患者[心拍出量及び血圧が更に低下する可能性がある。]

発症直後で病態が安定していない重篤な急性心筋梗塞患者[広範囲、3枝病変による梗塞等の重篤な急性心筋梗塞患者では血行動態の急激な変化を生じることがあり、更に病態が悪化するおそれがある。]

治療学的特性

  1. 手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧性緊急症において
    1. 速やかに降圧効果を発揮し、安定した血圧を維持する。
    2. 手術時の異常高血圧の救急処置においては、点滴静注の他、静脈内投与も可能である。
  2. 急性心不全において、後負荷を軽減し、心拍出量を増加させる。
  3. 主な副作用は、頻脈、心電図変化、肺動脈圧の上昇(急性心不全時)、心係数の低下(急性心不全時)、心室頻拍(急性心不全時)、チアノーゼ(急性心不全時)、肝機能異常、BUN上昇、クレアチニン上昇であり、重大な副作用としては、麻痺性イレウス、低酸素血症、肺水腫・呼吸困難、狭心痛、血小板減少、肝機能障害・黄疸が報告されている。

Takenaka, T. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol. 1985;20:7S-22S
吉永 馨 他:診断と新薬. 1986;23(4):733-745
Takenaka, T. et al.:Arzneim-Forsch. 1976;26(12):2172-2178

製剤学的特性

  1. 本品は溶解状態での光に対する安定性を考慮して褐色のガラスアンプルに密封し窒素置換している。

効能又は効果

手術時の異常高血圧の救急処置

高血圧性緊急症

急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)

用法及び用量(希釈方法と点滴速度)

適応症毎に点滴速度が異なります。
本剤は、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈してください。

適応症 希釈方法 点滴速度
手術時の異常高血圧の救急処置 0.01~0.02% 2~10μg/kg/分
手術時の異常高血圧の救急処置
(急速に血圧を下げる必要がある場合)
原液 10~30μg/kgを
静脈内投与
高血圧性緊急症 0.01~0.02% 0.5~6μg/kg/分
急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む) 0.01~0.02% 0.5~2μg/kg/分

用法および用量に関連する注意

高血圧性緊急症

本剤投与により目的の血圧が得られた後、引き続いて降圧治療が必要で経口投与が可能な場合には、経口投与に切り替えること。

本剤投与終了後に血圧が再上昇することがあるので、本剤の投与を終了する際には徐々に減量し、投与終了後も血圧を十分に管理すること。なお、経口投与に切り替えた後にも血圧の再上昇等に留意すること。

急性心不全

本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他の治療法(利尿薬、陽性変力作用をもついわゆる強心薬、血管拡張薬等の静脈内投与又は機械的補助循環等)に切り替えるなど必要な措置を講じること。

調製方法

点滴静注する場合の本剤の0.01~0.02%溶液は、下表の例示を参考に本剤と配合可能な輸液に本剤の必要量を加えて調製する。

配合する輸液の量(mL) 調製するニカルジピン塩酸塩溶液の濃度
約0.01% 約0.015% 約0.02%
加えるニカルジピン塩酸塩注射液の量(mL)
100 12 18 24
250 30 45 60
500 60 90 120

本剤を点滴静注する場合、配合する輸液によってはpHが高い等の原因で本剤が析出することがあるので、十分注意すること。

調製の例

輸液量が100mLで0.01%の溶液に調製する場合、
ペルジピン注射液は12mLを加えて下さい。

輸液
100mL
ペルジピン注射液
2mL
ペルジピン注射液
10mL

点滴速度

原液換算表

投与量早見表はこちら

手術時の異常高血圧の救急処置
高血圧性緊急症
急性心不全
投与量体重 ペルジピン注射液(μ/kg/分)
0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
30kg 0.9 1.8 2.7 3.6 5.4 7.2 9.0 10.8 12.6 14.4 16.2 18.0
40kg 1.2 2.4 3.6 4.8 7.2 9.6 12.0 14.4 16.8 19.2 21.6 24.0
50kg 1.5 3.0 4.5 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0 21.0 24.0 27.0 30.0
60kg 1.8 3.6 5.4 7.2 10.8 14.4 18.0 21.6 25.2 28.8 32.4 36.0
70kg 2.1 4.2 6.3 8.4 12.6 16.8 21.0 25.2 29.4 33.6 37.8 42.0
80kg 2.4 4.8 7.2 9.6 14.4 19.2 24.0 28.8 33.6 38.4 43.2 48.0

数値はmL/時(微量ポンプの場合)あるいは滴/分(点滴セット:60滴≒1mL)を表示します。

ペルジピン注射液は1mL中にニカルジピン塩酸塩1mgを含有します。

その他の希釈の場合には、「原液換算表」の該当する数値に、希釈する倍率を乗じてください。

調製の例

高血圧緊急症で体重50㎏の患者さんにペルジピンを2.0(µg/kg/分)の
点滴速度で投与する場合、6.0(mL/時)点滴溶液が必要になります。

手術時の異常高血圧の救急処置
高血圧性緊急症
急性心不全
投与量体重 ペルジピン注射液(μ/kg/分)
0.5 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
30kg 0.9 1.8 2.7 3.6 5.4 7.2 9.0 10.8 12.6 14.4 16.2 18.0
40kg 1.2 2.4 3.6 4.8 7.2 9.6 12.0 14.4 16.8 19.2 21.6 24.0
50kg 1.5 3.0 4.5 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0 21.0 24.0 27.0 30.0
60kg 1.8 3.6 5.4 7.2 10.8 14.4 18.0 21.6 25.2 28.8 32.4 36.0
70kg 2.1 4.2 6.3 8.4 12.6 16.8 21.0 25.2 29.4 33.6 37.8 42.0
80kg 2.4 4.8 7.2 9.6 14.4 19.2 24.0 28.8 33.6 38.4 43.2 48.0
体重
ペルジピン
点滴速度
50kg
×
2.0(μg/kg/分)
×
60
=
6.0(mL/時)
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は上記記載の各項目をご参照ください

臨床成績

国内臨床試験
手術時の異常
高血圧の救急処置
高血圧性緊急症 急性心不全
試験方法 二重盲検比較試験他 単盲検比較試験他 二重盲検比較試験他
有用度判定 82.9%(557/672)
有用以上
94.4% (51/54)
やや有用以上
71.7%(86/120)
有用以上
投与方法
別有効率
単回静脈内 78.6%(301/383)
点滴静脈内 88.6%(256/289) 94.4%(51/54) 72.3%(102/141)

用量反応探索試験

〈手術時の異常高血圧の救急処置〉

全身麻酔中、異常高血圧を呈した患者23例を対象に、本剤0.17mg~2mgの範囲で、血圧の上昇度により1回静脈内投与した結果、本剤の1回静脈内投与での至適投与量は0.5~2mg(10~20μg/kg)と示唆された。

全身麻酔中、異常高血圧を呈した患者85例を対象に、初期投与速度を1mg/5分として本剤の投与を開始し、血圧の下降をモニターしながら適宜点滴速度を調節した結果、初期投与速度で血圧は有意に下降し、術中の血圧のコントロールに有用であることが示唆された。

〈高血圧性緊急症〉

高血圧性緊急症患者32例を対象に2~30mg/時の点滴静脈内投与を行うか、又は0.5~2mg(10~40μg/kg/分に相当)の静脈内投与後に2~30mg/時の点滴静脈内投与を行った結果、点滴静脈内投与のみで優れた有効性及び安全性が確認されたことから、高血圧性緊急症患者に対する用法としては点滴静脈内投与のみで十分であることが考えられた。

〈急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)〉

急性心不全患者28例を対象に、本剤10μg/kg/5分、20μg/kg/5分、40μg/kg/5分を30分間隔で投与した結果、いずれの投与量においても投与30分後には効果が減弱したことから、静脈内持続投与が望ましいと考えられた。

副作用

〈重大な副作用〉

麻痺性イレウス(頻度不明)

低酸素血症(0.1~5%未満)

肺水腫、呼吸困難(各0.1%未満)

狭心痛(頻度不明)

外国において本注射剤で治療した冠動脈疾患患者の1%未満に狭心痛の発現あるいは悪化が認められたとの報告がある。

血小板減少(0.1%未満)

肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(頻度不明)

AST・ALT・γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

〈その他の副作用〉

発現頻度は、承認時までの臨床試験及び使用成績調査結果に基づいている。
0.1~5%未満 0.1%未満 頻度不明
循環器 頻脈、心電図変化、血圧低下、肺動脈圧の上昇(急性心不全時)、心係数の低下(急性心不全時)、心室頻拍(急性心不全時)、チアノーゼ(急性心不全時) 動悸、顔面潮紅、全身倦怠感、心室性期外収縮 房室ブロック
肝臓 肝機能異常(AST・ALT等の上昇)
腎臓 BUN上昇、クレアチニン上昇
消化器 嘔気、嘔吐、むかつき
過敏症 皮疹
その他 頭痛、体温の上昇、尿量減少、血中総コレステロールの低下、悪寒、背部痛、血清カリウムの上昇 静脈炎

配合変化表

FAQ

ペルジピン注射液の用法として高濃度/原液での点滴静注あるいは静脈内投与してもいいですか
ペルジピン注射液の承認された用法及び用量において、「手術時の異常高血圧の救急処置」に対しては原液(0.1%)のまま、静脈内投与(ワンショット投与)することができますが、「高血圧性緊急症」「急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)」には原液投与の適応はなく、ニカルジピン塩酸塩として0.01~0.02%の濃度に調整して点滴静注で投与してください。

2025年8月改訂(第2版)ペルジピン電子添文
ペルジピン注射液は、医療器具(輸液セット、容器、フィルター)への吸着はありますか
ペルジピン注射液は一般的に使用されているポリ塩化ビニル(PVC)製の医療器具に吸着することが報告されています。
また、ペルジピン注射液は、医療器具の材質のほかに、溶解液のpH、点滴速度によっても残存率が変化することが報告されています。吸着量が増大する条件としては以下の3点です。

  • 材質がポリ塩化ビニル(PVC)であること
  • pHが上昇する(塩基性に傾く)こと
  • 点滴速度が遅いこと

ペルジピン注射液は、フィルターに吸着することが報告されていますが、時間経過と共に回復します。ペルジピン注射液が吸着しない材質の医療器具を選ぶことで、吸着を防ぐことが可能です。吸着しない材質としてはガラス、ポリプロピレン(PP)があります。ペルジピン注射液は、患者の病態や血圧をモニターしながら点滴速度を調節してご使用いただきますようお願いいたします。

河野健治 他:病印薬理学,18(5):491-495,1992
河野健治 他:病印薬理学,18(3):182-186,1992

ペルジピン注射液を側管から投与できますか
ペルジピン注は配合変化を起こしやすい薬剤です。側管からの投与は避けて頂き、なるべく単独ルートで投与をお願いいたします。
また、同じ観点から活栓の使用についても控えていただくようお願いいたします。 もし上記2項目が難しい状況であれば、必ずルート、活栓のフラッシングを徹底いただくよう、お願いいたします。

本薬剤についての詳細は、電子添文またはインタビューフォームをご覧ください。