臨床成績
ペルジピン
手術時の異常高血圧
=ワンショット静注による降圧効果=
国内一般臨床試験
承認時評価資料
松本 信夫 他:循環制御. 7(2):737, 1986
本研究は山之内製薬株式会社(現:アステラス製薬株式会社)の支援により実施された。
対象・方法:
NLA変法麻酔下にある手術患者で手術中に発生した血圧上昇に対し、降圧を必要としてペルジピン注射液をワンショットで静脈中に投与した154例(180回)において、その降圧効果を検討した。
降圧効果
ペルジピン注射液の投与量を4群(3~10、10~20、20~30、30~μg/kg)に分けて検討した結果、ペルジピン注射液10~20μg/kg群及び20~30μg/kg群の血圧の推移は下図の通りであった。
また、投与後各時期の血圧低下度では、収縮期血圧、拡張期血圧のいずれも投与前と比較して投与30分目まですべて低下した(p<0.01、student t検定)。
血圧の推移

血圧低下度
| 投与量 | 例数 | 血圧 | 投与後時間(分) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | |||
| 10~20 μg/kg |
77 | 収縮期血圧低下 (mmHg) |
26±21 | 23±20 | 20±22 | 20士24 | 21士25 | 21士25 |
| 拡張期血圧低下 (mmHg) |
15土13 | 14士11 | 12士12 | 13±13 | 12士13 | 13士13 | ||
| 20~30 μg/kg |
38 | 収縮期血圧低下 (mmHg) |
26士24 | 30士26 | 30土23 | 27士26 | 24士24 | 24士25 |
| 拡張期血圧低下 (mmHg) |
16士17 | 18士14 | 17士13 | 17士13 | 16士13 | 14土12 | ||
ペルジピン注射液3~10μg/kg、30μg/kg~の投与群は、承認外の用法・用量のため、削除しています。
安全性
154例(180回)全体で、主な副作用として頻脈が13例(7.2%;13/180)に認められ、そのうち9例が軽度、4例が中等度と報告された。
(文献には死亡例を含む重篤な副作用、投与中止にいたった副作用の記載はなかった。)
■承認された用法・用量(抜粋)
○ 手術時の異常高血圧の救急処置
本剤は、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、ニカルジピン塩酸塩として0.01〜0.02%(1mL当たり0.1〜0.2mg)溶液を点滴静注する。この場合1分間に、体重1kg当たり2〜10μgの点滴速度で投与を開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。なお、急速に血圧を下げる必要がある場合には、本剤をそのまま体重1kg当たりニカルジピン塩酸塩として10〜30μgを静脈内投与する。
急性心不全
国内第Ⅲ相試験
承認時評価資料
久萬田 俊明 他:薬理と治療. 23(2):375, 1995
本研究は山之内製薬株式会社(現:アステラス製薬株式会社)の支援により実施された。
対象:
急性心不全患者又は慢性心不全が急性増悪した患者注)81例
注)下記条件を満たす患者。
心係数…2.5 L/min/m2以下、肺動脈楔入圧…15mmHg以上、収縮期血圧…100mmHg以上
方法:
プラセボを対照薬とした多施設共同二重盲検比較試験。
ペルジピン注射液1μg/kg/分又はプラセボを1時間静脈内持続投与した。
なお、経口ジギタリス製剤以外の心不全治療薬の併用は禁止した。
評価項目:
血行動態(心係数、肺動脈圧、肺動脈楔入圧、心拍数、動脈圧等を測定し、これらの測定値から一回心拍出係数、全身末梢血管抵抗、Rate Pressure Product等を算出)、安全性等
血行動態の推移
ペルジピン注射液群では、投与後血行動態(平均値)がForrester分類上「左上方向」に移行し、投与前のサブセットⅣから、投与15分後にサブセットⅡ、さらに60分後にはサブセットⅠとなった。
● Forrester座標軸上の推移(平均値)

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉(抜粋)
(3)急性心不全において、本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他の治療法(利尿薬、陽性変力作用をもついわゆる強心薬、血管拡張薬等の静脈内投与又は機械的補助循環等)に切り替えるなど必要な措置を講じること。
心拍出係数に対する影響
ペルジピン注射液群における投与15分後からの心係数及び一回心拍出係数の推移は下記のとおりであった。(名目上のp値)
● 心係数及び心拍出係数の推移

後負荷・前負荷に対する影響
ペルジピン注射液群の左室後負荷の指標とされる全身抹消血管抵抗及び左室前負荷の指標とされる肺動脈楔入圧の推移は下記のとおりであった。(名目上のp値)
● 全身末梢血管抵抗及び肺動脈楔入圧の推移

■血圧、心拍数、ダブルプロダクト(Rate Pressure Product)に対する影響
ペルジピン注射液群の収縮期血圧及び拡張期血圧、心拍数、心筋酸素消費量の指標とされるダブルプロダクトの推移は下記のとおりであった。(名目上のp値)
● 血圧、心拍数、及びダブルプロダクトの推移

安全性
ペルジピン注射液群の副作用は39例中2例に認められ、血圧低下、血清カリウムの上昇が各1例であった。いずれも重篤な副作用ではなく、また、投与中止にいたった副作用は認められなかった。プラセボ群(42例)では副作用は認められなかった。
薬剤との因果関係が否定できない臨床検査値異常は、ペルジピン注射液群で18例、プラセボ群で16例に認められた。主な臨床検査値異常は、ペルジピン注射液群では血小板数減少が6例、総蛋白減少が5例、プラセボ群では総ビリルビン上昇が5例、尿蛋白陽性が4例であった。
- 本剤には血圧低下作用があるため、急性心不全において、低血圧(収縮期血圧90mmHg未満)患者は禁忌、血圧が低い(収縮期血圧100mmHg未満を目安)患者は慎重投与とされています。
- 本剤の副作用として、頻脈、動悸が認められています。